【彦根酵母採取プロジェクト:遺伝子の塩基配列による酵母の同定 vol.04】

長浜バイオ大学で、プレーティングして形成されたコロニーから遺伝子を取り出し、その塩基配列から酵母の種類を決める作業を3日間にわたって行いました。
(実験は8月に実施しました)

塩基配列とは、簡単にいうと私たち人や動物、植物から微生物に至る生物の「設計図」のこと。この設計図を解析することで、どのような名前の生物かがわかります。
酵母は、ビールを作るのに適している酵母、パンを作るのに適している酵母など種類がたくさんあり、顕微鏡で観察しただけでは、どれがどの酵母がわかりません。
そこで、塩基配列を解析し、採取した酵母がビールを作るのに適しているかどうかを特定する必要があるのです。

1日目
遺伝子を抽出する試薬(PCR反応液)にコロニーをいれ、サーマルサイクラーという機械に入れ、遺伝子を増やします。そのままでは遺伝子の量が少なすぎるので、解析に必要な量に増やす実験です。

次に、増やした塩基配列に蛍光物質をくっつけ、解析機械で読み取れるようにします。これを「シーケンス反応」と呼びます。
今日の作業はここまで。初めて目にする装置や試薬がいっぱいでしたが、興味津々で作業をしている姿が印象的でした。

2日目
シーケンス反応液を精製します。
前日に作ったシーケンス反応液、実はこのままでは解析ができません。塩基配列とくっついていない余分な蛍光物質を取り除く必要があります。
余分なものを取り除き、より解析しやすい状態にします。
そして、DNAシーケンサーという装置で塩基配列を読み取ります。
この装置で塩基配列を読み取ることで、酵母の種類を同定(特定)することができるのです。
さて、次はいよいよ塩基配列から酵母を特定します!

ビールに適した酵母はみつかるのでしょうか?

3日目
2日間にわけて作業し、ようやく塩基配列の解析が塩基配列のデータから種を同定(特定)します。

読み取った塩基配列の情報を、酵母の塩基配列のデータベースで検索にかけ、分離した酵母の種類を決めました。膨大なデータのなかから、どの酵母かを特定しました。

今回は高校を飛び出し、普段あまり見たこと使ったことのない装置を使い実験に取り組みました。非常に高度な実験でしたが、最後まで取り組んでいました。自然界に無数に存在する微生物から酵母を抽出するのは、実は気の遠くなるような作業です。

分離した酵母の中に1種類これは!という酵母が見つかりました。
現在、長浜バイオ大学でこの酵母がビールを作るのに適しているかどうかを調べてもらっています。

今後も彦根麦酒は、長浜バイオ大学様と連携し、引き続き彦根産酵母の分離とそれによるビール作りを目指します!
河瀬中学・高校科学部のみなさんも、ありがとうございました!!